コロナで地価上昇縮小
全国全用途平均で0.3%に
日本不動産研究所が公表した2020年3月末現在の「市街地価格指数」によると、全国の地価は2月以降、新型コロナウイルス感染症の影響で上昇は一服、上昇率は半年前の前回調査(19年9月末現在)と比べ縮小した。
「全国」の地価は、商業地・住宅地・工業地の全用途平均で前期比0・3%上昇となり、上昇幅は前回(0・6%)より縮小した。地方別に見ると、昨年まで観光インバウンド需要などを背景に堅調だった「近畿地方」や「九州・沖縄地方」は、観光客の減少や経済活動の自粛によって地価上昇は頭打ちとなった。また「北陸地方」や「四国地方」は再び下落基調に転じた。
3大都市圏の最高価格地は「東京区部」で前期比3・3%上昇(前回4・6%上昇)「大阪圏」で同2・7%上昇(同3・6%上昇)「名古屋圏」で同0・7%上昇(同1・1%上昇)と、各都市圏とも上昇幅が縮小した。東京区部は全用途平均で前期比2・0%上昇(前回2・8%上昇)、商業地で同3・0%上昇(同4・4%上昇)、住宅地で同1・0%上昇(同1・2%上昇)、工業地で同2・1%上昇(同2・4%上昇)だった。
今後半年間の見通しは新型コロナの影響による先行き不透明感から、「全国」商業地は0・3%、住宅地は0・2%、全用途平均は0・2%それぞれ下落に転じる。3大都市圏では上昇率が低減するほか、インバウンド消費に関連した投資需要で上昇してきた地域では下落に転じる地域も出てくる--と見る。東京圏は商業地0・1%上昇、住宅地0・0%、工業地0・9%上昇と予想している。