2019年 業界重大ニュース
再開発ラッシュで新名所
「渋谷」に注目施設相次ぐ
東京都心部の再開発事業で最も注目を浴びたのは「渋谷駅周辺エリア」。
東急と東急不動産を核とする東急グループが「100年に一度の再開発」として、20年代半ばまで、数多くの中核施設を整備する。
その中の目玉となる大型複合施設「渋谷スクランブルスクエア東棟」(地上47階地下7階建て、延べ床面積18万1000平方メートル、事業主・東急、JR東日本、東京メトロ)が11月1日に開業した。
大型商業施設と産業交流施設が低中層部に入り、17~45階がオフィス、その上が展望施設「渋谷スカイ」という構成だ。
東急不動産は3月末に「渋谷ソラスタ」を竣工したのに続き、12月5日には渋谷駅西口前の再開発ビル「渋谷フクラス」(地上18階地下4階建て)に新生「東急プラザ渋谷」を開業した。
もう一つは11月22日に建て替え開業した「渋谷パルコ」(宇田川町)。
地上19階建て、延べ床面積6万4000平方メートルの大型商業施設。
パルコの旗艦店として話題を集めている。
池袋も元気がいい。
3月に西武鉄道の旧本社跡地に西武プロパティーズが鉄道線路をまたぐビル「ダイヤゲート池袋」(地上20階地下2階建て)を開業。
西武グループの主要企業が埼玉県所沢市から本拠を移したほか、テナント床は工事中から引き合いが多く、竣工時に満室稼働した。
5月末には新しい国際芸術文化都市づくりを進める豊島区とともに、東京建物とサンケイビルが事業主体となって旧豊島区庁舎、豊島公会堂を中心とした再開発「ハレザ池袋」が竣工。
豊島区が運営する大ホールは今秋にこけら落とし。
当面、上演スケジュールには空きがない盛況ぶりという。
都心部では3月末に「日本橋室町三井タワー」が竣工した。
地上26階地下3階建て、延べ床面積16万8000平方メートルの規模。
地下部分に地域に電気と熱を供給するガス発電プラント・コジェネレーションシステムを搭載。
災害に強い都市型スマートシティの構築を目指した。
9月には虎ノ門でホテルオークラ東京が超高層オフィスを併用した施設として新装開業した。
新築マンション市況
低迷脱出ならず
新築マンション市況は浮上することなく、低調さが続いた。
首都圏市場は価格高騰が目立ち始めた2016年頃から月間契約率が好不調の目安といわれる「70%ライン」を割り込む月が目立ち始めたが、2019年で見ると、70%を超えたのは3月(72.2%)と、話題物件「晴海フラッグ」が発売された8月(75.4%)の2回だけにとどまった。
例年なら比較的高水準の売れ行きを示す秋の商戦、9月、10月。
今年は10月の消費税率引き上げを控えて、本来なら“駆け込み”的な需要が出てきてもよかったが、運悪く週末が台風通過や上陸と重なり、その悪天候が影響したためか、それぞれ56.8%、42.6%と近年にない不振ぶり。
平均価格が6000万円前後まで上昇し、購入できる層が限られてきたことが重くのしかかっている。
新築発売数上回る
新築マンションの価格の高騰に引きずられて中古マンションにも割高感が強まっているが、その成約件数は堅調に推移している。
2019年も昨年に続き4年連続で新築東京カンテイによると、都心部は8000万円台に乗り、なかには1億円を突破するケースもあった。
東京都の平均価格も5000万円台半ば以降の水準で推移している。
ただ、直近の動きを見ると、“この価格高騰に待った”の雰囲気がにじみ出始めた。
東日本レインズの調査によると、11月の首都圏の成約件数は10月に続いて1年前の同じ時期の水準を下回った。
在庫件数も54カ月連続で増加している。
※週刊住宅タイムズ より