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団地建て替えに課題山積

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カテゴリ:不動産市況
団地建て替えに課題山積

珍しくない「想定外」

複雑な権利関係が活用阻害

有効利用が難しい土地の一つに、権利関係が複雑な土地がある。
相続登記が未了のため所有者が分からない地方の空き家を例に挙げるまでもない。
たとえば大都市圏に多数存在する団地型マンションなども、複雑な権利関係となっているケースが少なくない。
建て替えを検討していても、区分所有法に基づく団地一括建替え決議の対象にならなかったり、接道など課題があり、そのままでは建て替えが困難な団地は珍しくない。
再開発手法による建て替えなど国は関係制度を整備するが、残された課題は少なくない。

「一括決議」利用できず

区分所有法では、マンションの建替え決議は、区分所有者と議決権の各5分の4以上の賛成による決議によって成立する。

団地型マンションの決議による建て替えは「一括建て替え決議」「建替え決議と建替え承認決議」の手法がある。

建替え承認決議は、一部の棟を建て替える場合を想定した仕組みで、棟による建替え決議と、土地を共有する団地全体での承認決議を組み合わせる。
現実問題として余剰容積の活用や、後から建て替える棟の承認を担保する仕組みがないことから、同時並行的に決議して全体を建て替える場合を除いてほとんど使われていない。

団地一括建替え決議は、団地全体の区分所有者と議決権の各5分の4の賛成に加えて、各党の区分所有者と議決権の3分の2以上の賛成が必要になる。

この団地一括建替え決議、どんな団地でも適用できるものではない。
①団地内建物の全部が区分所有建物
②敷地が区分所有者の共有
③団地単位の建物・敷地に関する管理など規約により、団地内の建物が一括管理されている
―ことが前提になる。


よく課題になるのが③管理体制。棟別に管理していた場合には、棟ごとに特別決議によって団地管理組合など一括管理に移行する必要がある。
建替え決議よりハードルは低いが、建て替えに疑問を持つ区分所有者が少なからず存在する場合は慎重な対応が求められる。


一括管理の体制がない場合でも、「建替え決議」と「建替え承認決議」を各棟ごとに同時並行して行うなどで、建て替えを実現したケースもある。


①の要件は、対応が難しい。昭和30年代~40年代の公団住宅では、賃貸棟と分譲棟、分譲棟と社宅棟が一つの団地になっていたり、テラスハウスなどが混在するなど様々なタイプの団地がある。
社宅棟は区分所有建物ではない、テラスハウスは建物部分の土地が分有で、そのほかの土地にも権利を一部共有するなど区分所有法の団地一括建替え決議の要件を満たさない場合がある。

一括建替え決議が利用できないならば、全員合意による建て替え、もしくは全部買収方式が選択肢になる。
実際に、全員同意や全部買収で建て替えを実現した事例はあるものの、いずれも決議に比べると長い時間を要した。


②の要件は敷地の一部が第三者との共有である場合などが該当する。
分かりにくいので事例を紹介したい。

容積余剰でも制度が障害
都市計画にも長い時間

現在建て替えに向けて合意形成を進めている首都圏近郊の大規模団地の管理組合の理事は「建替え決議が成立すれば新しいマンションに更新できると思っていたが、その準備が思っていたよりも大変だ」と話す。
団地は、複数の分譲街区と賃貸街区で構成する。土地の権利は、基本的に街区単位。
街区ごとに管理組合があり、一括建替え決議の要件を満たしている前提だった。

建て替えが具体化するにつれ、隣の街区との共有地が問題になった。
それぞれの団地から見ると、区分所有者以外とも共有になり②の要件を満たさないというのだ。
幸いに建物の敷地ではない(規約共有地)ため、団地の敷地ではなく単なる共有地にしようと規約改正を検討中だという。

「規約の問題だけで権利(登記)は区分所有者のもので変わりはない。
だが、分かり難く、理解を得るのが難しい」

この団地、どの街区も建ぺい率、容積率ともに十分な余裕があり、当初は床面積は3倍以上になると見込まれていた。
近隣には建て替えが成功した団地が複数あり、余剰容積はほかよりも多いと楽観視していた。

しかし、都市計画法の一団地から地区計画への移行に向けて行政と協議する中で、周辺の中高層地域よりも容積を抑えられ、地域への貢献なども求められたという。
本格的な建て替えの検討から10年近くが経過し、区分所有者の高齢化が進む。

「この間、建築費は高騰した。
さらに時間がかかれば、建て替えへの熱意が冷めてしまうのではないか」
と話す。

無接道の敷地も

団地内道路の多くが通路扱いで接道条件から建て替えが難しい、団地内通路を公道移管しており活用できない変形地を抱えるケースなど、建設時には建て替えを想定していなかったことからさまざまな条件の団地がある。

団地建て替えに再開発手法を導入する仕組みも整備された。
一括建替え決議の条件を満たさない団地型マンション再生には有効な手段ではある。

ただ、再開発は都市計画決定が前提。
手続きなど時間を要するだけでなく、行政の意向にも左右される。
「都心部や団地が集中している一部の自治体を除くと、適用できる団地は少ないのではないか」とみる専門家は少なくない。


※週刊住宅タイムズ より
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