らいばる > RAIVAL 株式会社フレックスヴァリエーションのスタッフブログ記事一覧 > かぼちゃの馬車 媒介契約に違法性も

かぼちゃの馬車 媒介契約に違法性も

≪ 前へ|一棟マンション利回り低下に歯止め   記事一覧   分譲マンション、ストック最多は東京186万戸|次へ ≫
カテゴリ:不動産市況
問われる不動産取引のモラル
かぼちゃの馬車
媒介契約に違法性も
相場の3倍〝ずさんな価格”設定
===================================
女性用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の開発・販売、サブリースを提供していたスマートデイズが
オーナーに対する家賃の支払いを停止してその後に破たん、銀行融資で建てた個人投資家がシェアハウスのローン返済に窮する事態となったのを機に明るみに出たのが書類改ざんなどによる不正融資だった。

これに伴って、サブリースという賃貸管理のビジネスモデルの在り方にも注目が集まっている。

人口減少により市場収縮が加速する中でパイの奪い合い。
ビジネスモラルの欠如は自らの立ち位置を危うくすると不動産・金融業界が危機感を募らせる中でスルガ問題とサブリースビジネスの現状を追った。
===================================


スルガ、タテルは氷山の一角か


スマートデイズにとどまらず、TATERU(タテル)の新築アパート向け融資でも不正が発覚。


同社の従業員が顧客から得た預金残高のデータを改ざんして実際の預貯金よりも多い金額を銀行に提出していたことがわかり、東証一部上場企業を舞台に不正融資が発覚したのを機にこの問題は氷山の一角ではないかとの見方が強まっている。


スルガとタテルの事件を受けて、賃貸開発などに携わるアパートメーカー系の株価が連れ安となったほか、
「土地と建物をセットにした融資に時間がかかるようになり、顧客からキャンセルを受けるケースが増えている」(証券大手)といった声が漏れ伝わる。


SS被害者同盟(スルガ銀行・スマートデイズ被害者)は、被害は700~800人で1000棟を超えて被害総額1500億円超だと訴えている。


スルガ銀行・スマートデイズ被害者弁護団(河合弘之弁護団長)は、改ざん数値による収益還元法で不動産を評価したことで購入物件の価格が不当に割り増されたと認定されており、それを受けてのサブリース事業自体が詐欺的スキームだと叫弾している。


そんな中で、去年12月7日、東京都品川区在住の被害者の元にスルガ銀行ハウジングローン支店の支店長名で催告書が届いた。


その内容は、8月1日返済分以降の支払いについて遅延損害金などを含めて至急支払うよう求めており、そのローン残高は4000万円以上に上る。
支払いが無い場合は、ローンに付与している団体信用生命保険の失効や担保物件の競売などの所定の法的手続きによりローン債権を売却すると通知してきた。


同行の中間期業績を見ると2000億円に上るシェアハウス向け融資で累計7割弱を中間期で引き当てたが、シェアハウス向け融資回収の遅延率が3割に達することが主な要因。
債権回収に必死になっている様子がうかがえる。


スルガ銀行調停案作成検討委員会の井上徹委員長は
「スマートデイズ社のシェアハウス融資は、土地・建物・建築の全ての価格が異様に高い。土地は相場の倍に達しており、評価にしてみると3分の1まで価格が落ち込むケースが相当数ある。不動産会社と銀行が一体にならないとここまでの融資はできない」と話す。


相場の3倍となる1億2000万円で購入していた投資家もいたという。
相場の1.5倍や2倍はザラだと指摘する。


個人投資家のリスクに対する意識の甘さを指摘する声について、
井上氏は「当初は私もそう思っていたが、精査していくと、そうはいえない事実も噴出している。例えば、媒介契約時に売主が立ち会っていなかったり、重要事項説明(重説)をしていないケース、重説をしていない宅建士の印鑑が押してある」といい、

「高値販売した中から紹介者にキックバックを支払った形跡も見てとれ、明らかに1000万円以上のお金が紹介料として流れているケースの中には、別会社を使い巧妙に入金している」と今回の事件の悪質性を指摘する。



不動産ADRで再生を模索
不動産会社の立ち入り視野か


被害者救済策は借金を棒引きするという考えではなく、事業再生の一環としての考え方が原則。
「不動産ADR(裁判外紛争解決手続)」で対応する。


ADR調停人でもある井上氏は、
「スルガも個々の状況に応じて貸出金利の引き下げや元金の相当期間の据え置き、債務の減免にもある程度応じる準備もあるようだ。ただし、債務免除によって債務免除益の発生が要注意だ」と頭を悩ます。


債務免除益とは、債務たな上げの救済を受けたり、借金を切り捨ててもらった場合に商法で損益計算書に特別利益として記載することを規定しているもので、例えば8000万円を免除すると所得税2000万円といい、これでは本末転倒な結果を迎えると税務当局に訴えているという。


金融庁は昨年秋に全国の金融機関を対象に不動産投資に対するアンケート調査を実施している。
結果は明らかになっていないが、
「金融庁がその結果をもとに(取引の多い)上位20社の不動産会社をリストアップしてほしいと言っているので不動産会社の実態も調べ上げるつもりなのかも知れない」と不動産会社への立ち入りの可能性もある。



サブリース市場は拡大予測
家主の知恵袋的な存在感は増す


「そもそも今回の悲劇は、個人投資家がサブリースを信じ込んでしまったことだ。不動産を知らない個人が物件からのキャッシュフローや賃料ばかりを気にしている」


一方で「賃貸管理会社は、管理戸数を増やすために家賃保証ばかりをアピールして将来の家賃保証の減額や契約解除の恐れをしっかり説明していない」


双方に対してこのような指摘は少なくなく、今回の事件によって、サブリース事業の問題を改めてクローズアップした格好だ。
空室が発生してもサブリース契約になっているから一定の稼働率を維持できるとの説明に安堵感を抱くことに行政や法律家も警鐘をならす。


かぼちゃの馬車を機にサブリースに対する見方も厳しく、
日本弁護士連合会(日弁連)では、この問題が出た早々に
「サブリースを前提とするアパート等の建設勧誘の際の規制強化を求める意見書」を国土交通省に提出した。


国土交通省でも金融庁や消費者庁と連携してサブリースに関するトラブル防止に向けての注意点の見直しと周知に追われた。


空き家等の役割も


ただ、サブリースの利用そのものが減っていくとの見方はない。
日本賃貸住宅管理協会(日管協)では、
「むしろこれからサブリースは増えていく」とマーケットの流れを予測する。


賃貸住宅の経営に不慣れな地主や、サラリーマンの投資家にとって、自らクレーム対応しなくで済むなど便利であるためだ。
入居者の有無にかかわらず一定の家賃収入を受け取る事が出来るのがメリットであるとの認識に変わりはない。


空き家が社会問題化する中にあって、賃貸管理会社としては、家主の知恵袋的な部分として存在感を出していく考えだ。


そうしたメリットの半面、
日弁連では、借り上げ家賃の変動リスクや、借り上げ中途解約リスクに照らして将来の家賃収入が保証されていうものではないとして、変動リスクの説明などを法令上の義務とすべきだと強調。


サブリース事業者は直接の借り主で借地借家法の適用を受けており、
サブリース事業者が入居者から受け取る家賃が、
オーナーに支払う保証賃料を下回る状態を避けるために保証賃料を当初契約よりも低く改定しているほか、採算が合わない事で契約解除を申し出て撤退するリスクがあるとする。


銀行に対して金利上昇や空室・賃料低下などのリスクをもとに
適切な情報提供や注意喚起をすべきであるところを具体的な規制が実施されていないと安易な融資に釘を刺し、さまざまなリスクや将来予測を説明するべきだと銀行法施行規制に明示するよう注文を付ける。



管理法制化など請求

賃貸業界団体の日管協では、国に対して賃貸不動産経営管理士の社会的位置付けの担保を求めている。


これに対して国土交通省では、
「経営管理士は管理の健全化を果たす上で重要な役割をしている。
サブリース業者などの問題が多発し、トラブルの実態把握とその結果を踏まえて登録制度の法制化を視野に入れて検討を進めており、その経営管理士の資格のあり方についても位置付けをどうするかを合わせて検討する」と応じている。


賃貸管理業界に激震が走って1年余り。
余波はこれからだとする声も少なくない。
相続増税による貸し家の新規着工が一巡するとともに新規融資の審査も厳しさを増す。


不動産・金融界でのモラル欠如が市場悪化の引き金を引いてはならないと気を引き締める。



※週間住宅タイムズ  抜粋


≪ 前へ|一棟マンション利回り低下に歯止め   記事一覧   分譲マンション、ストック最多は東京186万戸|次へ ≫

最新記事

おすすめ記事

カテゴリ

>>全ての記事を見る

XMLRSS2.0

トップへ戻る