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買い手の価格下落リスク限定的

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カテゴリ:不動産市況
買い手の価格下落リスク限定的

首都圏市場動向 中古マンション
頭打ち感も23区で強含み
坪単価、5年連続で上昇

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不動産流通各社は、首都圏において中古マンション市場に焦点を当てて消費者を取込んでいる。

特に東京23区など都市部でのマンション需要は堅調に推移している。
新築マンションが高嶺の花となったこともあるが、新築では得にくい好立地にある中古の物色は続きそうだ。

2018年の中古マンション市場を振り返ってもらうとともに、19年以降の展望について東京カンテイの井出武氏に寄稿してもらった。

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寄稿  東京カンテイ市場調査部       井出 武氏
    上席主任研究員         


◆平均坪単価の動き

18年の首都圏のマンション価格は178.8万円と前年17年の175.7万円と比較して1.7%上昇した。
この1.7%の伸びは17年以降首都圏の中古マンション坪単価が上昇に転じて以降最も小さい上昇率となった。(14年の2.4%を超える小さな伸び率)


17年は前年比2.5%の上昇だったので、上昇率はさらに小さくなっている。
また、16年における前年比はプラス12.4%であるので17年、18年と年々上昇率は縮小している。


14年以降の上昇基調17年以降は落ち着く過程に入っており、18年はその動きがさらに強くなった1年だった。


とはいえ、中古マンションの平均坪単価は下落しているエリアではなく、首都圏全体で見ても5年連続上昇を続けているが、17年以降は「頭打ち」や「高止まり」の傾向が強くなっている。


ところが、東京23区では17年の前年比上昇率0.4%から18年は1.8%に上昇率が高まる方向に振れており、このような動きは東京23区と相模原市にしか現れていない。
東京23区に関してはさらに区別にみる必要があると思われる。


表をご覧いただきたい。
東京23区を当社の基準に従って
「都心6区」「南西6区」「北東11区」の3つのエリアに分けている。


今回の東京23区で起こった「18年の価格再上昇」の“発生源”は千代田区、中央区、港区、渋谷区、品川区、目黒区、練馬区、葛飾区の8区のみで起こっていることがわかる。


さらに、3ポイント以上の大きな回復を示したのは、
千代田区、港区、渋谷区の都心3区である。

これらの都心3区では築10年の物件で大きな価格上昇が起きており、もともと高額である築浅の物件が旺盛な買いに支えられて、更に価格が上昇している様子が分かる。


築年の違いに着目すると港区では築30年までは17年以降価格が大きく上昇しており、立地にブランド力のある地域の物件では築30年を超えても価格は依然として上昇傾向である。

その一方で、渋谷区は築40年になると坪単価水準が低くなり、極端な坪単価の上昇も起きていない。

これらの都心3区では千代田区における「番町」、
港区における「青山」「赤坂」「麻布」の3A地区や「六本木」など、
渋谷区における「広尾」「代々木上原」「原宿」「恵比寿」などいわゆる“一等地”ではインバウンド投資も盛んになっており、売りと買いのバランスにおいて立地のブランド性が価格の動きを分ける大きな要因となっているのが現在の中古マンション市場の大きな特徴である。



築古の立地の良さ
収益性に逆転現象も



◆築年別賃料及び表面利回りの動き

では、中古マンションの収益性の変化を分譲マンションから発生する賃貸事例をもとに築年ごとの分析で見てみよう。


賃料は一般的に築年を経過するごとに下がっていく事が当社の調べで明らかになっているが、さまざまな要因が重なる事によって、ある種の“逆転現象”が起こる。

東京都において17年と18年は、築40年の中古マンションが築30年の中古マンションの平均坪賃料を大きく上回った。

09年~12年においても同様の現象が発生していたことが分かる。
神奈川県においても09年~13年では築40年賃料が築30年賃料を上回っている。

これらの動きは築40年という40年前に竣工した物件の立地条件によるところが大きい。
09年の築40年の中古マンションは1979年に竣工したマンションである。
この時期の分譲マンションは都心立地や駅近マンションの比率が高く条件のいい大規模開発も多い時代でそのために賃料が高くなっているケースがある。

東京都では港区、神奈川県では港北区の賃料事例発生率が高い傾向となる。
これに対して17年と18年の東京都の築40年賃料は1900年をピークとするバブル期に供給された高額物件からの賃貸事例が平均坪賃料を押し上げているための“逆転現象”である。


まず、特殊なケースの説明をした形ではあるが、基本的には築年が進むごとに賃料が低下する。
その一方で、中古マンションの流通価格自体も市場の中で下落していく。


通常において、賃料は流通価格に比べ粘着性が強く、市場の中で「変化しにくい」性質を帯びるために、両者を比較すると、流通価格の方がより大きく下がっていく。

よって表面利回りは築年が古いほど高くなる傾向となる。
ただ、この10年間で中古マンションの流通価格が上昇したため、以前と比べ著しく変化した点が指摘できる。
それは築年を経ても表面利回りの上昇幅が縮小する傾向にあるという点である。


首都圏の平均表面利回りで確認すると09年では築10年の表面利回りは7.30%で、築40年は8.47%と1.17ポイント利回りが高くなっている。
しかし、10年後の18年には両築年の差は0.5ポイントしかない。


都県別で見ても同様の傾向が見られる。
とりわけ千葉県では09年には築10年6.93%→築40年12.85%=5.92ポイントの上昇となっていたが、18年は同様に6.22%→7.51%=1.29ポイントの上昇と上昇幅の縮小が著しくなっている。


このように築年が古くなっても表面利回りが大きく向上しなくなったのは、中古マンションの流通価格が大きく上昇したことが要因である。


しかし、この事実は、裏を返せば、賃料の下落スピードと流通価格の下落スピードに大きな差がなくなってきたことを示すもので、中古マンションへの投資の“うま味”が減殺された事を示すと同時に、中古マンションを購入する際に買主が負う「価格下落リスク」が相対的に小さくなっていることも示している。


※週刊住宅タイムズ  抜粋


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